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出前講座の事例
ネットトラブルの回避と対処について考えよう
- 目次
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1.出前講座実施概要2.出前講座の流れ(1)事前準備(2)講座当日の流れ(3)講座終了後の対応3.まとめ(感想)
1. 出前講座実施概要
■参加者: | 南伊豆町立南中小学校 6年生 40人 |
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■実施日: | 平成28年11月22日 13:10~13:55 |
■会場: | 南伊豆町立南中小学校 |
■講師: | 賀茂広域消費生活センター所長 |
■テーマ: | ネットトラブルの回避と対処について考えよう |
■講座のねらい: (重点領域) |
消費生活をおくる上でインターネットは不可欠となっており、便利であるが、トラブルに巻き込まれる危険や友人や家族等に迷惑をかけることがあることを認識させる インターネットを使用する上での問題や楽しく安全に利用するためのルールを考えさせ、消費者及び児童として適切に行動する態度を養う (重点領域) ・選択し、契約することへの理解と考える態度・情報社会のルールや情報モラルの理解 ・消費生活情報に対する批判的思考力 |
■時間: | 45分 |
■教材: | パワーポイント資料PDF DVD「情報化社会の新たな問題を考えるための教材~安全なインターネットの使い方を考える~」より ・ドラマ1:教材3「そのページ、確認しなくて大丈夫?」 ・ドラマ2:教材7「ひとりよがりの使い方にならないように」 |
2. 出前講座の流れ
(1)事前準備
10月中旬の出前講座の申込の際「インターネットやLINEを使用する際に考えられるトラブルやスマートフォン等を子供に持たせる際の注意点などについて話してほしい」旨の要望があり、担当の6年生担任の先生と協議してテーマを「ネットトラブルの回避と対処について考えよう」とすることとしました。
その後「本時指導案」「当日主に使うパワーポイント資料」「事前及び事後アンケート」を作成し、出前講座開催の3週間ほど前に2人の6年生担任の先生と当日の授業の内容や進め方について打合せをしました。作成資料及び視聴するDVDの案を使って「契約の基礎、ワンクリック請求やネット通販の問題と注意する点、さらに、LINE等で起こるいじめの原因の多くが誤解等に起因することからネットでも思いやりを持つことの大切さについて話したらどうでしょうか」という提案をしたところ、先生方から「その案でやりましょう」と言う回答をいただきました。事前アンケートについても、先生方から開催日の1週間前までに集計結果を送ってもらい、その結果をパワーポイント資料に反映させて当日使うこととなりました。
学校の先生との打合せにあたっては、申込時に要望を良く聴き、その要望に沿った資料を作成して説明するなど、具体的な授業の流れとして提案を示して話を進めることがポイントだと思います。
資料づくりは出前講座の1か月前から始めました。テーマが「ネットトラブルの回避と対処について考えよう」であったため、以前作成した中学校での出前講座のパワーポント資料を基に小学生用に理解しやすいように修正し、授業の主要な資料として作成しました。先生との打合せで合意した、事前アンケートの結果もこの資料に加えて最終版としました。
また、説明だけだと飽きてしまうため、小学生にも理解できて、テーマに合うドラマを文部科学省が作成したDVD教材「情報化社会の新たな問題を考えるための教材~安全なインターネットの使い方を考える~」の中から2つ選びました。
(2)講座当日の流れ

・事前アンケートの結果を基に説明
これらは全てインターネットに接続できます。インターネットは便利な反面、使い方によってはいろいろな問題を起こす可能性があります。
ネットの問題を知る上で必要な知識の一つに「契約」があります。
- 所持の実態を見ることで本時における説明のレベルを把握する
ネットトラブルで皆さんに知っておいてほしいことが2つあります。一つはものを買うということの意味、二つ目がネットにも思いやりやルールが必要ということです。
生活していく上で商品などを買うということは欠かせないものです。ものを買うということは、実は契約をするということです。お菓子やスポーツ用品などを買うことも契約ですので、皆さんが毎日生活している中で沢山の契約をしていることになります。
契約とは、法律で守ることが義務となっている約束であり、勝手に約束をやぶることができないものです。買う人の申込み、売る人の了解、買うものと売るものが同じという3つの条件で契約が成り立ちます。
そこで質問です。次の4つのケースで契約に該当すると思うものに対して手を上げてください。
答えは②以外が契約です。この契約は、ある人が申し込み、相手が承諾することによる両者の合意で成立します。お金のやりとりがない場合もあり、また書類にしなくても口での約束でも成立します。
また、契約を結ぶと相手が了解しないで、勝手にやめることはできなくなります。しかし、契約を結んだとき、言い換えれば商品を買ったときに十分な説明がなかった、商品が違っていたなど相手に誤りがあった場合は別です。
- 契約とは何か、いつ成立するのか、契約した場合、一方的に解約できないことを理解させる

DVD視聴を通して、ネットトラブルの状況、問題、対応を理解してもらう。
特に、DVDの「しょうたさん」の事例で出てきたワンクリック詐欺については、先ほど説明した契約の条件を満たしていないことから、相手の請求に対して反応しないことが重要であることを理解してもらう。
- ワンクリック詐欺の事例を考え、契約とはを理解する
DVD視聴を通して、ネットいじめのきっかけは誤解によることが多く、利用については相手を思いやることの重要性について理解してもらう。
- ネットいじめのDVDの内容確認
- 個人情報の漏えいを防ぐ⇒不用意に個人情報を出さない
- 危険な出会いの可能性があり、知らない人とは実際に会わない
- SNS等は連絡を取ったりする際には便利であるが、相手の状況を考えず、相手がいつでも利用できるという意識でいると、返信がすぐに来ないことに不満を抱いてしまい、そのことが原因でトラブルが起こることがある。インターネットを利用できない場所や、利用しない方がよい場面等があることを理解させ、相手の立場や気持ちを思いやる心を持つなど、情報発信について気を付けなければならないことを考えさせる。
ネット上のゲームでの問題は長時間使用、アイテムなどの多額な購入、過激な発言による炎上
⇒親子で機器や仕組み、有料部分を確認、ルールを決める、正しい年齢を登録、勝手に家族のクレジットカードを使わない
- ネットを適切に使うためにはルールを決め、それを守ることが大切
- ネットのルールの例示
家に帰って、親と一緒に、ネットを利用するときのルールを話し合って決めてください。
ネットは生活を便利にする道具であり、自分で主体的に利用する必要あります。
また、ネットショップや動画サイトなどの事業者と消費者との間には、情報の質や量、交渉力に格差があり、トラブルに遭うことは恥ではありません。特に、悪質事業者は騙して儲けようとします。
トラブルに遭って困ったとき、トラブルにならないまでもあやしいサイトや販売方法だなと感じたら、信頼できる人や機関に相談することが重要。
また、トラブルに巻き込まれた場合に消費者を守る法律がありますし、秘密厳守で無料の公的な相談機関である消費生活センターがあることを知っておいてください。
ネットトラブルで困った場合は「賀茂広域消費生活センター」に相談してください。電話は188「悪質商法はいやや(188)で覚えてください。なお、188に電話するときは自宅の郵便番号も必要になります。
- 消費者であることの自覚を促し、消費者を守る法律あること、消費生活センターを利用する意義を説明する
- 最後に賀茂広域消費生活センターにつながる「消費者ホットライン」188「悪質商法はいやや(188)」の語呂で覚えてもらう(居住地の郵便番号が必要なことも伝える)
(3)講座終了後の対応(アンケートを実施)
講座終了後、先生の協力の下、別紙「本時指導案」の事後アンケートを実施しました。また、後日、担任の先生が受講した児童に感想文を書かせ、当センターに送っていただきました。ありがとうございました。
- 分かりやすい
- 33人
- どちらとも言えない
- 7人
- むずかしい
- 0人
- 長い
- 3人
- ちょうどいい
- 36人
- 短い
- 1人
- よかった
- 36人
- どちらとも言えない
- 4人
- よくなかった
- 0人
- 見やすかった
- 34人
- どちらとも言えない
- 6人
- 見にくかった
- 0人
- 役立つ
- 35人
- どちらとも言えない
- 3人
- 役に立たない
- 2人
- 契約に関すること
- 消費者トラブルや詐欺に関すること
- 個人情報に関すること
- 約束やルールに関すること
- いじめに関すること
- 相手をおもいやること
- 相談すること
3. まとめ(感想)

学校への出前講座を促進していくことは難しいことと思いますが、校長会や各教科の研究会などキーパーソンが集まる場でPRすることも一つの手段だと思います。今回は、事前に各市町の校長会で当センターの出前講座をPRしてあったため、出前講座の依頼があったと思います。このPRでは、学校で問題となっているネットいじめと、消費生活相談で多いインターネット関連の消費者トラブルを合わせた出前講座の開催を提案しました。学校のニーズに合わせた形で消費生活に関する出前講座を提案する工夫も必要と思います。
また、今回の出前講座では、小学生に契約の基礎、消費者トラブルやワンクリック詐欺、ネットいじめの原因など難しい内容をどうやって理解してもらうかが最も苦労した点でした。このため、担任の先生の協力を得て、事前アンケートにより使用実態や消費者トラブルにあう危険性があることをグラフで示しました。また、受講する児童と同じ小学生が直面した事案のドラマを視聴してもらうことで、共感と理解を深める工夫をしました。今回、ドラマとして選んだDVDは、文部科学省が作成し、全国の小中学校や教育員会に配布したDVD教材「情報化社会の新たな問題を考えるための教材~安全なインターネットの使い方を考える~」であり、各消費生活センター等で活用できるものです。一度、御覧になってください。
事後アンケート結果や児童達の感想文を見ますと、講座のねらいやテーマについてある程度は理解してくれたと思っていますが、更に工夫を重ねてより良いものにしていきたいと思います。